第40章 retrieve*
なんだかんだ時間を食ってしまったが、
ようやく家に到着する。
ランは急いで三ツ谷にホットココアを作って渡した。
「隆…その……ご」
「ごめんな」
言おうとしていた言葉を遮って先に言われてしまい、目を丸くする。
「こんな長く、待たせてごめん。
俺、もう目が覚めたから。」
「隆っ…」
「俺はやっぱ…
ランがいなくちゃ、だめなんだ。
すっげー好きだからさ、やっぱランのことになると感情的になっちまうし、冷静になれない時多いけど…
でも絶対に…俺といて幸せって思ってもらえるように、頑張るから。」
その言葉に、
一気に目頭が熱くなる。
体中から、我慢していたものが込み上げてくるのがわかった。
三ツ谷は眉を下げて微笑むと、
ランの頭に手を置いた。
「勝手でホントにごめん…。
もう離れねぇから、
ずっと俺と一緒にいて。ラン」
ついに耐えていたものがブワッと溢れ出てきてしまった。
思えば私は…
隆と付き合いだしてから涙脆くなりすぎだ。
昔は泣くなんてこと全くなかったのに。
「ホントにごめん…
俺、ガキだったよ…」
違うよ。
隆はいつだって…大人だ。
距離を置いたのだって、
自分のことより私のことを考えてくれたからだ。
どんな自分でも客観的に見つめることが出来て、決して自分を誤魔化したりしない。
ちゃんと、冷静になれる人。
どこまでも真っ直ぐで広くて優しい器を持った人。
昔から変わってない。
だから私は好きになったんだ。