第40章 retrieve*
「んなっ?!ちょっと今牛くんっ!!」
その声にバッと一斉に視線が向く。
この中学の数学教師だった。
ランは内心、やはり…と思った。
うちの中学で若い女の先生って、この人くらいだもんね。
「あっ!トモちゃん〜!」
「もうっ!生徒に言われて来てみればっ!
今牛くんだったのね!なにやってんのうちの中学の校庭でっ」
「トモちゃんにチョコ渡しに来たんだよ〜
ほら、ホワイトデーだろ今日。」
そう言って今牛は紙袋を差し出す。
「トモちゃんのは特別♡
ゴ○ィバの超豪華版今季限定品♡」
「えっ…あ、ありがとう…!」
顔が真っ赤になっている先生を見ていられなくなって目を逸らした。
この今牛若狭という男は
随分と女性経験豊富なのかもしれない。
「行こう、ラン」
「あっ、うん」
三ツ谷に腕を引かれて歩き出す。
万次郎もポカンとした表情で追ってきた。
「なぁなぁホントにあいつら誰だったんだ?
なんで喧嘩してたんだよ?」
「「………。」」
「???」
万次郎だけは最後まで蚊帳の外だった。