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progress ~東リべ卍~R18~

第40章 retrieve*




「もー何やってんだよ三ツ谷!
そんな奴とっととボコっちまえよ!!」


万次郎のその声に、
ようやく今牛は気が付いたようだった。


「えっ、マジか…真一郎のっ」


「よそ見してんなよ」


ドガッ


「っお!!」
「っ!!」


三ツ谷の一発が今牛に勢いよく当たっていた。


「おぉらぁあっっ」


ドガッ
バコッ


「すごいね、その怯まない感じ、
やっぱお前昔の俺にそっくり」



そこから先は三ツ谷も今牛もいい勝負だった。



「あいあい、もーそこまで〜」


武臣が律儀に携帯灰皿にタバコを落ち着けた後、パンパンと手を叩いた。


「中坊相手に本気になってる時点で
ワカの負けな〜」


「ふー…確かにそーだな。
一発貰ってるしなぁ。」


今牛はニコニコ笑いながら
頬を擦り、潔く身を引いた。



「感情は捨てる。
それがガキと大人の差だ。」


武臣という男は最後、
よく分からないことをボヤいていた。



「ちょっと安心した。
なんか強くなったな、お前。
あん時とは別人みてぇ。
まるで憑き物おちたっつーか」


その言葉に、三ツ谷の目が見開かれる。


「これならランちゃん任せられるな」


今牛はそう言って三ツ谷に笑いかけた。




「なぁなぁラン、
こいつらって誰?」


今更問いかけてくる万次郎に、
ランはなんと言っていいのか分からず言葉を失う。


すると今牛と武臣がくるりとこちらを向いた。


「おっきくなったな…お前」

「あぁ…真に顔似てきたな…」


「は…?」


「あいつの守りたかったもんは俺らが一生賭けて守ってくからさ…お前らは中坊らしく馬鹿やって笑って、立派な大人になれよ」


そう言った時の今牛と武臣の顔は、
あの頃の真一郎のようだった。

言ってる意味はよく分からなかったし、万次郎なんかもっと分かってないだろうが、その面影と声が、まるで真一郎の優しげなものに重なり、鼓動が波打った。
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