第40章 retrieve*
隆は…
もしかしたら…
隆と距離を置いている間、いつも放課後こうしてこの人と会っていたなんて勘違いをしてしまったかもしれない。
どうしよう…
それだけは裂けたい。
「違うんだよ隆、あのねっ!たまたまさっきこの人がここにっ、でっ」
言ってしまってからハッとなる。
"なんで他の男のことそんな庇ってんだよ!"
三ツ谷から言われた言葉が
口を噤ませた。
「彼氏くん、血の気が強すぎるよ。
そういうのって結構危険だよ?」
「うるせぇ。今度こそ決着つけてやるよ」
「え〜…もう…俺忙しいのに。
まぁいいや、そっこーで終わらせてやるか。」
ま、待って…うそ……
なんでまたこんなことに…!
「じゃあちょうどいいからこの学校の校庭な。」
えっ…!
しかも校庭って…!!
2人は本当に校庭で対峙し始め、
周りの生徒たちは当然チラチラと視線を送りながら帰っていく。
一体何をしているんだ、何が始まるんだ、というように、興味津津な者もいれば、関わっちゃいけないとすぐに判断して足早に通り過ぎていく生徒もいた。
「た、隆……」
三ツ谷も今牛も、涼しい顔をして突っ立っている。
「や、やめようよ…」
せっかくのホワイトデーが、
どうしてこんなことになっちゃうの?!
「なんかあれだね。
彼氏くんさ、前回と面構えが違うね」
「あ?」
「迷いがなくなったって感じ。
すっきりしてる」
「わけわかんねぇこと言ってんじゃねぇよっー…」
ドガッ
バシッ
シュッ
「おおお、やっぱ前回と違うね」
「ぶっ倒す!」
ランは目を見張ってしまった。
三ツ谷が前回よりもこの男に応戦できているように見える。
気のせいだろうか。
いやそんなことよりも……
ふと隣にいる武臣という男に視線を移す。
なんと呆れたように溜息を吐きながら
タバコを吸い始めた。
ここ学校なんですけど!!!
ていうか!!
なんで止めてくんないわけ?!?!
いい大人でしょ?!?!
自分は今からこいつと喧嘩しようかと半ば本気で迷ってしまった。