第40章 retrieve*
「ちょっ…こんなとこで喧嘩しないでよ!」
変な人連れ込んだって私が叱られちゃう。
「ところで誰待ってんの?こないだの彼氏?」
「そ、そうだよ、だからとっととどっか行ってよ」
「そっか。分かった分かった。
またこないだみたいな修羅場になりたくないしね。
あっ!もちろん今日は、俺が言ったアレ、実行するつもりだよね?」
妖艶な瞳を薄ら細められ、
あの時の会話を思い出した。
男が1番喜ぶ絶対に外さないプレゼントなんて簡単だと教えてきた内容だ。
"まずね、誰もいない二人きりの場所に行く。
あ、その日はちゃんと勝負下着身につけといたほうがいーよ
そんでまず、ベッドかソファーを自分の背にして立つ。
で、上目遣いでジィっと彼の瞳を見つめんの
それで、顔を近づけてこう囁くの。
こんなふうに……
大好き……
…今日は…好きにしていいよ…"
あの時は真剣にメモまで取っていたから
普通に覚えてしまっているし、
あまりに小っ恥ずかしい内容の衝撃に、忘れたくても忘れられないでいた。
「そんなこと…できるわけないじゃん…っ」
「えっ、なんでー?
今も昔も絶対、私がプレゼント♡ってやつが一番に決まってんだぞ?」
「っ!」
「とにかく絶対やってな♡ね!
これあげっからさ」
「要らないってばっ」
その瞬間、ピリッと視線を感じて
横を向くと…
なんと、目を丸くした三ツ谷が立っていた。
「あ〜はは…やべ。バッドタイミング」
なぜだかこの状況に笑みを浮かべている今牛の言う通りすぎて、思わずその場に崩れ落ちそうだった。
「たっ、たた隆あのねっ」
「また俺の女にちょっかい出してんのかよお前」
あの日と同じ、
禍々しいオーラに鋭い眼光でグイッと今牛の前まで行き、目と鼻の先で睨みあげる三ツ谷に戦慄する。