第40章 retrieve*
放課後までに三ツ谷から連絡がなかったら、
夜にでも自分から三ツ谷の家に行こうかと考えていた。
しかしなんと、放課後間近になって、
三ツ谷からメールが届いた。
三ツ谷の方から迎えに行くから
学校で待っていてほしいとのことだった。
心底ホッとしすぎて
全身の力が抜けた。
よかった……
そうだよね…やっぱり隆だ。
ちゃんとホワイトデーは忘れてなかったんだ。
ランはいてもたっても居られなくて、
校門の前で待つことにした。
しかし、驚くべき人物が話しかけてきたのだ。
「っあ!やっほ〜ランちゃん!
久しぶり!」
その声に恐る恐る視線を流すと…
「っっ!…い、今牛さん…な、なんで!」
相変わらずストローを咥えている今牛が
ニタニタ笑っていた。
「バレンタインのお返し配ってたんだよ。
でさ、ここの中学の先生に俺の同級生いて、その子にも返さなきゃと思ってきてみたらー…そっかぁランちゃんここの中学だったんだぁ」
「え?!」
衝撃の事実を知ってしまった。
この人の同級生がここの教員?!
だとしたら…一体誰?
この人と同い年くらいの女の先生っていえば……
「買いすぎちゃったから
これランちゃんにもあげる〜」
「はい?!いらないですって!
私あなたにバレンタインあげてないですし!」
「いーから貰ってよ〜
ゴ○ィバだぜ?」
「そんなの知りませんよっ」
押し問答を繰り返していたら、
あの日、途中から現れた長身の男がまた現れた。
「おいワカぁ。お前とっととしろよ、
変なとこ車止めてきちまったんだから。
だいたいなんで俺も付き合わなきゃなんねぇんだ」
「いーじゃん。バレンタイン1個しか貰えなかった武臣が可哀想だから俺もゴ○ィバあげたろ?」
「っ、てめえ喧嘩売ってんのかぁ?
好きな人からの1個はてめえのと重みがちげーんだよ」
そんなことよりも、
さっきから下校中の生徒たちの視線が痛い。
当然、不審者を見るような目で避けて通られている。