第40章 retrieve*
まるで振られた気分だった。
嫌だと言って泣いて縋りつけば、
もしかしたら彼は思い直してくれたかもしれないのに…
どうしてそうしなかったんだろうと後悔した。
あれから約1週間たったけど、
当然三ツ谷には会っていないし連絡もしていない。
1週間を、こんなに長いと感じたことはない。
普段なら1週間なんて、
かなりあっという間なのに…
こうして離れている間、気持ちすらも離れてしまったらどうしようとずっと不安だった。
部屋に飾ってある、彼がくれた白雪姫の人形を見る度に、おそろいのバングルや待受を見る度に胸が痛くなった。
安田さんにも、万次郎たちにもとくに何も言っていない。
しかし、なんとなく薄々気がついているのではないかと思っている。
そうしてすぐにホワイトデーは来てしまった。
けれど自分は、三ツ谷からの連絡を待っているしかない身だ。
まるで拷問だが、自分が招いたことなので仕方ないとこれまで思って耐えてきた。
でも、今日も会えなかったとしたら…
さすがに私はもう…
これ以上我慢できなくて、そしてカーディガンを渡したくて、何がなんでも自分から連絡してしまうだろう。
渡せるだけでもいい。
そのために頑張って仕上げてきたんだから。
ランはカーディガンを丁寧に紙袋へ入れ、学校へ向かった。