第39章 respective
次の日の朝、
三ツ谷は驚愕した。
自分んちのアパートの階段下に、
ランが腰掛けていた。
あの日自分があげたマフラーを首に巻いている。
「あ…おはよう隆、そのっ…」
「いつから居たんだよ、朝っぱらから長時間外いたら風邪引くだろ?」
そう言って、心配そうに駆け寄ってくる三ツ谷の優しさを感じて涙腺が緩みそうになった。
「ごめん…でも…早く話したくて…」
「……。」
「あのね、昨日のことだけど、
あの人は真一郎の…」
なんとか分かってもらえるように説明する。
三ツ谷は表情一つ変えず、真顔で聞いていた。
「だから…私のことも知ってたんだって…」
「…そうなんだ。」
「でも、ホントに私が軽率すぎたと思う。
ごめんね?」
「…いや…いーよ。お前の話も聞かずに感情的になってた俺も悪いし、そもそもそんなことでキレて俺大人げなかったと思うし」
「そんなこと」
「それよりランは、平気なの?
痴漢にあったんだろ?」
やはり彼はどこまでも優しいなと思った。
こんな時でもその心配をしてくれる。
「あ、うん……
ていうかちょっと…気が付かなくて…」
「なんだよそれ…ほんとに平気かよ?」
「うん、ごめん…」
「もういいよ謝んなくて。
俺も悪かったから。」
隆は…やっぱり優しすぎるな…
結局私のことは責めず、逆に反省をしている。
とてつもなく申し訳無くなってしまった。