第39章 respective
そうだよね…
とにかくちゃんと話さないと。
それで、ホワイトデーには絶対喜んでもらいたい。
私がどれだけ隆のこと想ってるのか分かってもらいたい。
だからその想いを、
このカーディガンに詰め込もう…!
「…そういえば安田さんて、
どうして手芸部に入ったの?」
作業をしながらずっと思っていたことを問いかけてみた。
「あぁ、私はね、小学生の時も手芸部で元々結構自信があったんだ。
だから中学上がった時、迷わず手芸部って思って部室に行ったんだけど…部員だ〜れもいなくてさ」
「えっ?!」
「部長とか林くんとかいて、まさに不良の溜まり場かと思ったよ。ホンット怖くってビックリした。
でも部長も手芸部やりたいらしくて、部員集めを始めたんだけど全く集まらなくて。」
そんなことは初耳だ。
確かに中一の頃の三ツ谷もペーやんもパーチンも見た目はかなりヤバかった。
そんな部室には誰も入りたくはないだろう。
「でも…じゃあなんで今はあんなにたくさん部員がいるの?」
「はは、それは、いま思うと笑えるんだけどね、
手芸部ホストをやって部員集めたんだよ。」
目が点になってしまった。
「な…なに手芸部ホストて……」
「部長がホストになって、女子部員たちを勧誘したの!
入部したらどんなものでも作れるようにしてあげるとか言って、いろんなもの披露してね、その時のスーツも部長の手作りで。
みんな顔真っ赤になってたくさん入部してくれたよー」
「え"」
……なにそれ。
え、なにそれなにそれ。
知らないし聞いたことないし聞いてないし
「その時の部長カッコよかったよ〜」
「……。隆が…ほ、ホスト……」
当時は少し長かった髪をセットして
派手なスーツを着込んで
女の子たちに囲まれ甘い言葉を囁く…
そんな彼を想像したら、
目眩がしそうだった。
ていうか……
私には、大事なこといつもなんも言わないとかってキレてたくせに、私にも言ってくれてなかったよね…?
これかなり大事なことだと思う。うん。