第39章 respective
なんの躊躇もなく、
つかつかと店の中に入っていく三ツ谷を、八戒は必死に追いかける。
心臓が今にも飛び出しそうなくらいバクバクだ。
でもこんなタカちゃんの姿…
初めて見た…
ホントにタカちゃんか?って思うほど
殺気立った余裕のない雰囲気…
もしもランといるアイツが男だったとしたら…
きっとランを誑かしてるに違いない。
だとしたら俺だって容赦はしねぇ。
俺はどこまでも三ツ谷隆についていくと決めた男!
弐番隊副隊長 柴八戒!
タカちゃんの邪魔する奴は
…ぶっ殺す!!
「……ん?」
近づいていくにつれ聞こえてきた話し声で、
完全に男なのだとわかってしまった八戒はみるみる顔を険しくする。
やっぱタカちゃん流石だ。
すると、なんと……
男がランに至近距離まで顔を近づけ始めた。
「っっ!!!」
き、き、ききききききキスされる…!
「おい」
三ツ谷が今までにないくらい低い声を出したかと思えば、当然振り返ったランは驚愕の表情をしている。
「た、隆っ」
「なんだよオッサン。
俺の女になんか用かぁ?」
小首を傾げ、下から睨みあげるような三ツ谷の禍々しい三白眼に、ランはタジタジになって何かを喋ろうと口をパクパクさせている。
しかし今牛は、全く怯む様子を見せずにポカンとした表情をしていた。
「へぇ〜想像と違ったな。
最近の優等生ってこんな感じなの?」
へぇ〜と言いながらニヤニヤ笑い、
上から下までジロジロと三ツ谷を凝視しはじめた。