第39章 respective
三ツ谷は今日、部活帰りにたまたま補習で居残っていた八戒と帰っていた。
「タカちゃん今日不機嫌だな〜
どーしたのー?」
「今日ランが部活来なかったんだよ。
こないだまでは毎日来てたくせにさ。
しかも昨日も俺置いてとっとと帰っちまったし」
「えっ!!
ランがタカちゃんより優先させる何かがあるってことか?!俺それマジ許せねぇんだけど!」
「許せねぇっつーか…」
俺だって不安になるしショック受けるし
誰にも言えねぇけどこう見えてナイーブなんだよ。
だってランの奴……
どんどん可愛くなってくし……
俺なんかじゃ釣り合わねぇんじゃねえかとか…
「…っん?!おい!おいおいおいおい
えええええーーーーっっ」
「なんだようるっせぇな八戒。
人が真剣に悩んでる時に」
「見ろよタカちゃん!あれ!!」
八戒が指さすカフェの窓際には、
なにやら楽しそうに会話をしているランと知らない誰かがいた。
「……誰だ?あれ…見たことねぇな。」
あんな派手で奇抜な友達がいるなんて聞いたことも見たこともない。
「つぅかあれ、よく見たら…男?」
「んーどうだろ?女にも見えるよな。
小顔で色白だし髪なげーし。
…っておいタカちゃん!」
三ツ谷は無言のままつかつかと近づいて行った。
そうして確信してしまった。
「……男だ。」
「まっまっまっマジかよ…
まさかランが……う、う、うわ」
「浮気……」
そう呟くや否や、
みるみる目が据わりだし、禍々しい空気を醸し出す三ツ谷に、八戒は心底焦り出す。
「っっ!!ちょっ、待ってよタカちゃん。
一旦落ち着こうぜ?
だってランがさぁ、そんなんありえねぇって!
あれはきっと女だよ!ほら!よく見」
「俺のことナメてんのか?てめぇはよ…」
「っっっ……!!」
上目遣いで睨みあげてきた三ツ谷の眼光があまりにも恐ろしくて、八戒の背筋は凍った。