第39章 respective
「大丈夫だったー?
送ってくよ」
「えっ、あ、ありがとうございました…
でも送ってくれなくても大丈夫です。」
ヤンキーは何か言いたげに口を開いたが、ランはとにかく急ぎたくて、頭を下げたあと小走りで走っていった。
はぁ……
思わぬ所で時間を取られちゃったなー。
こんなこと初めて。
でも…痴漢しようとしてたなんてホントムカつくあのオヤジ!!
散々渋ってて結局最後は認めたけど、絶対今までもやってた常習犯だよね。
被害に遭った女の子たちはきっと、声も上げられなかったんだ。
あの時の私みたいに……
でも私もさっきは結局触られてたってことなのかな?
なんかよくわかんなかったけど…
どさくさに紛れて女の子を傷つける行為して…ほんっと最低な男…
最近はようやく、世の中には隆や万次郎や堅みたいに良い男がいるんだってこと理解出来てきて、なんとなく受け入れられてきたけど…
こういう目にあうとやっぱりムカついてしまう。
さっき助けてくれたあのヤンキーもきっといい人なんだろうけど…。
そんなことを悶々と考えながら、
安田さんから貰った裁縫の本を見てカーディガン作りをしていく。
「…む、難しい……」
できる所だけ仮縫いして、やっぱり明日もっとじっくり安田さんに習わなきゃ。
そんなことがあった、次の日の放課後帰宅途中……