第39章 respective
安田さんが連れてきてくれた店で、その種類の多さと色とりどりの空間に軽く目眩を覚えてしまった。
「す、すごい……
なにがなんだかわかんないよ!安田様助けて!」
「部長なら絶対この生地にこの色だよ!」
「えっ、紫?」
それは、淡い綺麗なラベンダー色の生地だった。
「まさに、部長って感じしない?
うんうん、絶対これだよ!」
なぜか分からないがめちゃめちゃゴリ押しされ、次第にそうかもと思えてきた。
上品でオシャレな色合いが、まさに彼ピッタリだと。
「ランちゃんもパープルが好きでしょ?」
「えっ、なんで知ってるの?」
「勘だよ〜」
安田さんは何故かニヤニヤ楽しそうに笑っていた。
しかし、なにはともあれ安田さんはやはりとても頼りになる。
「今日は本当にありがとう安田さん!
明日からはそっこー帰宅して頑張るよ!!」
というわけで、しばらくは三ツ谷の部活には参加せず、出来上がるまで家で懸命に取り組むことにした。
「うん!私も部活終わったらランちゃんちに行くね!」
あぁ…やっぱり今後も、なにかあったら初めから安田さんに聞くべきだな!
満面の笑みのルンルン気分で安田さんと別れた。
めちゃめちゃ不安だったけど、
ちょっとだけ作るのが楽しくなってきたな〜
私が作ったもの着てる隆を想像すると……
「…や、ばい…っ…」
つい1人で顔が赤くなってしまった。
しかしその顔は、駅のホームに降りた途端みるみる青くなる。
普段あまり電車に乗らないからか、
帰宅ラッシュのこの時間に当たってしまったと今気がついた。
かなりの数の人がおり、車内はスシ詰め状態。
安田さんは、せっかく隣駅に来たからまだ寄っていくところがあると言っていて別れたため、今は1人だ。