第39章 respective
「別にんな深く考える必要ないっすよー!
三ツ谷くんてランさんがくれるもんならなんだって喜びそうですし!」
千冬はなぜかドヤ顔でそう言う。
「…そ、そーかもしれないけどさ…
千冬は皆に何あげるの?」
「あー、俺は数が数っすからね。
だからって全員にあげなかったりテキトーだったりしたら場地さんに殺されるんで。まぁ女の子だし可愛めの筆記用具とか?」
「おぉ〜なるほど。さすが千冬。センスいいね」
「いや、場地さんほどでは〜」
「そういえば去年は圭介もめっちゃくちゃ貰ってたじゃん。皆に何返してたんだろー」
「あぁ確か、20人近くの女の子にペヤングの新作配ってましたよ。ランさんも貰ってましたよね?」
「あ…うん。あれ皆にあげてたんだ。
さすがペヤング男…」
なんだか懐かしくて切なくなってしまう。
でもホワイトデーのあの日は、
実は私は圭介と過ごしていた。
隆でも万次郎でもなく。
「圭介がさ、私の好きなとこ連れてってやるって言ってくれてさ。ホイップ山盛りパンケーキの店へ行ったんだよね…」
「あ〜それ言ってました言ってました!
場地さんが胃もたれした〜って騒ぎながら」
「ふふふっ、そうそう。圭介私に付き合ってくれてさぁ。すごーく頑張って食べてた。懐かしいなぁ…」
「やっぱ場地さんの中でランさんは特別だったんすね。他の子にそんなことしてませんでしたから。」
「……うん。…私も…圭介は特別。」
会いたいな…
今年は何をくれたかな。
また去年みたいにペヤングのアップルパイ味と納豆味と、スイーツ店に付き合ってくれたりしたかな。
「あ〜じゃあランさん!
三ツ谷くんの好きな店に連れてけばいーじゃないっすか!場地さんを見習って!
それならぜってー外さねぇし!やっぱ場地さんあったまいーなー!」
「なるほど……」
でもなぁ…
隆の好きな店なんて裁縫屋さんに決まってるしなぁ…
「はぁ……みんな使えないなぁ」
千冬と別れたあと、
自分のことは棚に上げてそんなことを呟く。
早く何か考えなきゃ…