第38章 rudder
「最後に…… 月乃ラン。」
柔らかい表情の万次郎の前に
ランがゆっくりと出た。
「お前のためのチームだった。
でも…ごめんな。」
寂しげに笑う万次郎に、
ランはにっこり笑う。
「なんて顔してんのよ万次郎。
私は万次郎に、いっぱいいろんなもの貰ったよ。
それだけでもう…じゅうぶん!」
「… ラン……。
お前がいたからここまで来れたんだ。」
「私はただ、万次郎に必死についてきただけ。
昔からいつもそうだった。
置いてかれないように…」
ランはそう言って万次郎に手を差し出した。
万次郎はゆっくりとその手を握る。
その瞬間、
ランにグッと引き寄せられて強く抱き包まれた。
「ありがとう…
私に時代を見せてくれて。」
"ランのために、
幸福な未来を創ってってやるよ!"
幼い頃に万次郎が言ったその言葉が
ランの脳裏に木霊していた。
「私は今、幸せなんだよ。
お疲れ様。総長。」
「……うん…
ランも…お疲れ様。」
2人がかわす抱擁を前に、
全員の東マンコールが響いた。