第37章 render
「ラン、違うんだよ、それは、」
「どれよ」
「…え?」
「その子がくれたチョコはどれよ」
あまりに恐ろしい表情なので、
三ツ谷は何も言えなくなってゴソゴソと包みを漁りだし、見つけた箱を手に取った。
バッと勢いよくランにひったくられる。
パカッと開けると、なんとも可愛らしい黒白の丸いトリュフチョコが入っていた。
「…先輩…ずっと好きでした。…レナ……」
という、なんともシンプルなラブレターに
本気な彼女の気持ちを感じ取ってしまった。
「あ…でも、ラン、俺はもちろんちゃんと断ったからさ。彼女いるからって」
バラバラバラバラ
「え」
なんとランは
上を向いて大きな口を開け、そのトリュフの箱を傾け、一気にバラバラと全て口の中に放り込んでしまった。
チョコで頬を膨らませモグモグと咀嚼している。
その真顔がかなり怖い。
三ツ谷は目を見開きながら
言葉を失う。
「………ん……うま……」
「…そ、そっか……よ、よかったな…」
「………。」
「………。ラン…さん……」
「………。」
ランは無言のまま
そのほかの三ツ谷獲得チョコを食べ進めていっている。
三ツ谷はギロリと下からぺーやんを睨み上げた。
「てめぇ覚えてろよ…マジ殺す」
「ん〜うめぇ〜♡
あーホワイトデーなにあげよ」
ぺーやんは三ツ谷を完全に無視していた。