第37章 render
ランはさっそく三ツ谷の貰ったチョコたちを片っ端から開封していく。
三ツ谷は困ったようにその様子を見守っていた。
「なにこれ…あ、これも…
これもこれもこれも……
ラブレター付きじゃん!!!!!」
「…っ…やぁ……はは…
ただの手紙だろ」
「女の子からの手紙はぜんっぶラブレターって呼ぶの!!ほんっとなんなの隆って!ムカつく!!」
「えー…俺がムカつかれるの?」
「隠してたなんて酷いよ!!」
「別に隠してたわけじゃ……」
ランはカッと見開いた恐ろしい眼光で
手紙を読み進めていく。
「いつもなんでもできる隆くんを尊敬してます。
だっ……大好きです……夏希…より…」
読み上げてからギロリと三ツ谷を睨む。
三ツ谷は苦笑いしながら視線を逸らした。
「カッコイイ三ツ谷先輩…に…いつも惚れ惚れしてます…また服の作り方を教えてください……美鈴……」
「……なぁもうやめようぜ?な?」
「部長、いつもお世話になってます。今年は…」
「なぁ、頼むからもうやめてくれ…」
「いつも優しい三ツ谷くん…これは丹精込めて作った生チョコです…食べたら感想教えてください…」
ランは険しい顔をしながら
ガッと五、六個チョコを掴んで一気に口の中に放り込んだ。
「そんな一気に…」
「…モグモグ…」
ガツガツと無言で食べ進めている彼女を、困った表情で見守る彼氏。
「う…うまいか…?」
「………。」
「なぁラン機嫌直してよ…
悪かったって。」
何を謝っているのかは自分でもわからないが、
片っ端から貪り食いだすさぞ不機嫌そうなランに
とりあえず三ツ谷は謝罪した。
「おーいラン聞けよ〜」
そう言って近づいてきたのはぺーやんだった。
「さっきの話の続きなんだけどよ、
三ツ谷今日放課後、後輩に告られててさ、」
「なんっっだってぇ?!?!?!?!」
「おいぺー!!ふざけんなよてめ」
「なのに三ツ谷ったら優しすぎっから
曖昧な振り方してさぁ、ランに代わって俺が叱っといたぜ」
その言葉に、ランはみるみる黒い衝動(オーラ)を滾らせた。