第36章 regain
「漢だな、三ツ谷…」
「うん…やっぱ適わねぇ…」
「ほら、立てよラン。
ランんちで食わせて。」
ランはぬいぐるみを握り締めたまま
ゆらゆらと立ち上がった。
三ツ谷も万次郎もドラケンも、その姿にホッとした。
次の瞬間……
ドガッ!!!
ドガッ!ドンッ!!
「「「!!!!!!!!!!」」」
「おいランっ!!」
ランが凄い形相で
男たちを蹴り始めた。
「くっっっっそぉぉぉおおおおお!!!
私の苦労を返しやがれこの野郎!!!
バカ!!!アホ!!!ゲス!!!ハゲ!!!
チキン!!ピザ!!オムライス!!」
いろいろなことを泣き叫びながら
先程の三ツ谷よりも正気を失っている。
「私がっ!!どれだけっ!!頑張ったと思ってっ!!」
ドガッ
ドガッ
呆気にとられている三ツ谷とドラケンの傍で、万次郎だけがゲラゲラと爆笑していた。
「あんなにっ!かわいくっ!豪華にっ!したのにっ!こっちはっ!寝不足でっ!それでも頑張ってっ!好きな人にっ!あげたくてっ!死ぬほどっ!」
「も、もうわかったからランっ!」
三ツ谷だけがあたふたしている。
「死ねっ!死ねっ!私の苦労返せっ!このっ」
「ラン!!」
三ツ谷がランの体を強く抱き締めた。
「…死ねとか言うなよ…
聞きたくねぇよお前の口からそんなこと…」
「………隆だって言ってたじゃん…」
「………。」
「アッハハハハハハハハハ!!!ひーーー!!ははははははははははは!!!!!うっはははははははは」
「笑いすぎだマイキー…
ほら、マジでもう行こうぜ。
…俺エマ置いてきちまったし。
俺が殺されるわ…」
ドラケンの言葉で、なんとかこの場は締めくくられた。