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progress ~東リべ卍~R18~

第36章 regain




「せっかく…隆にあげる…
バレンタインだったのに…」



あまりに絶望的すぎて
紙袋と箱にはポタポタと涙が落ちていった。


「あんなに…頑張ったのに…っ…」


その様子を、
ドラケンも万次郎も眉をひそめて見つめていた。


「ラン、ありがとな。」


ポンと、三ツ谷の手が頭に触れた。


「すげー嬉しいよ。ちゃんと食うから」


「ダメ……こんなの意味ない…
絶対あげられない…」


「何言ってんだよ。お前からのもんならなんだって嬉しいよ。それにこれ、俺のことを思って俺だけのために作ってくれたんだろ?食わせてよ」


「ヤダ…」


尚もまだ泣いているランに、
三ツ谷は「ったく…」と言って自分のカバンから何かを取り出した。


「ほら。じゃーこれと交換。」


「…え……」


それは、手作りの白雪姫のぬいぐるみだった。


「俺からの逆チョコな。」


三ツ谷は優しげな表情でにっこりと笑っている。


「ランは赤ずきんじゃなくて、白雪姫なんだろ?」


その言葉に、鼓動が大きく跳ねた。
自分がなんとなく言っただけの言葉を、三ツ谷は覚えてくれていた。


「俺もこれ、ランのことだけを考えて、ランだけのために作ったんだ。だからそれと、交換な。」


ハッピーバレンタイン
そう言って、三ツ谷はそのぬいぐるみをランに持たせた。


ランの涙は止まっている。
目を見開いたままぬいぐるみを見つめ、ただ茫然と固まってしまっていた。

三ツ谷は嬉しそうに紙袋を拾い上げた。
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