第36章 regain
「はー…良かった。浮気じゃなくて…」
「えっ?!」
体を離した三ツ谷は悩ましげに笑みを浮かべていて、いつもの彼に戻っていた。
そんな2人を他所に、ドラケンは気を失っている3人を見下ろす。
「俺が捕まえた犯人は無関係だったわけか。
こいつら…単純にランが目的だったのか?」
「…あ…なんか…私を廃人にするとかなんとか…」
そうランが呟くと、皆顔を険しくした。
「あと…なんだっけ…チームとか名前とか言ってた気がするけどごめん…テンパりすぎてて忘れちゃった…」
「ん。いーよ。とりあえずはラン助けられたし。な、三ツ谷」
にっこり笑う万次郎に、三ツ谷は小さく頷いた。
「……てゆーか…隆、
浮気って…どういうこと?」
「え?なになに?三ツ谷浮気を疑ってたの?!
ウケる!!そんなことランがするわけねーじゃん!!」
「っせぇな……だって最近明らかによそよそしかったじゃん。部活にも来ねぇしうちにも来ねぇし」
三ツ谷は気まずそうに目を逸らした。
「あっ!それはっ!
そっ、そーだ!それで思い出したよ!」
ランは気が付いたように急いでカバンと紙袋を拾い上げた。
「……え…もしかして……」
箱が……
潰れてる……!!!
「うそ……」
目を見開いて固まってしまっているランに、三ツ谷が近付いた。
「どうした?」
「……こ…れ……隆にあげようと思ってたのに…」
「え?」
「ご、めん……もう、無理だ…」
こんなのあげられない。
絶対ぐっちゃぐちゃだ……
「お、おい、ラン」
ランはショックのあまり、
その場にへたりこんでしまった。