第36章 regain
ドンッ
ダダンっ
「ははっ…やっぱやるなぁこの女」
「3対1でこれかよ」
くそっ…
3人同時に迫られちゃ
やっぱり分が悪い。
私相手にこんなに時間食わせれる奴そうそういない。
でもホントだったらこんな奴らでももうとっくに打ちのめしてるはずだけど、なにしろ今の私は相当な寝不足で体がダルいし目が霞む…
ほんっと間が悪い……
「つぅかよぉー……」
そう言って一人の男がニヤつきながら近づいてきた。
「お前って、やっぱぜんっぜんトラウマになってねぇのな」
「は、は?…何の話?」
「やっぱ気付いてねぇんだ?」
トスッ
ランが放った拳をパシッと掴むと、グイッと顔を寄せてきた。
「これでも分かんねぇ?俺のこと…」
「っ!!!!!」
男が首筋に顔を近づけ息を吹きかけて来た瞬間、
鳥肌がゾワッとたつのと同時に、一気にあの時のことが蘇ってきた。
目を見開いたまま力が抜けていき
ガタガタと震え出す。
男はそんなランを冷徹な目で笑みを浮かべて見下ろしている。
こいつ……だったってこと?
この感じ…間違いない…
捕まった犯人は私とは関係のない奴で…
こいつはそれに便乗して私を…っ…
「…ははっ…
やっぱなんだかんだ言って、てめぇも女だな」
その言葉にチクリと針が刺された痛みを帯びた。
「いいかぁ?月乃ラン。
てめぇはなぁ、どんなに強がってても所詮女なんだよ。
女が男にかなうわけがない。わかるか?」
バクバクと心臓がうるさい。
目眩がしてくる。