第36章 regain
「じゃじゃーん♡」
「!!!」
ドラケンはエマの部屋で
デンっと開けられたハート型のチョコタルトを前に目を丸くしていた。
「どおー?すっごいでしょ!」
「おぉ…」
「じゃああ〜んてしてあげる♡」
「ちょっ、待て待て。
この形崩すのかよ?」
「え?だって、じゃないと食べれないじゃん」
「まぁ、そうだけどよ……」
もったいな…
え、もったいなすぎるだろ…
かと言って食わねぇわけにもいかねぇし…
「………。」
しゃーない。
ここは…とりあえず食うしか……
ドラケンは、バッとエマの持っていたフォークを奪う。
「っあ!ちょっと!ウチがあ〜んしてあげるって!」
「ばか!んなガキみてぇなことできっか!」
単純にフツーに照れくさいだけ…。
ドラケンは恐る恐る、
その綺麗なハート型にフォークを近づけた。
やべぇ…
なんかすっげー緊張する。
手が震えてきた…
ドラケンが生唾を飲み込み、
フォークを刺す寸前となった時、
〜♪
携帯が鳴った。
「?!」
タケミッチ…?
なんだ?
「もしもし?今忙しーんだけど」
«ドラケンくんっ!あのっ……ー»
みるみる驚愕の表情になっていくドラケンに、エマは疑問符を浮かべる。
電話を切ったあと、ドラケンは勢いよく立ち上がった。
「悪ぃエマ!すぐ戻るからそれとっといてくれ!
崩すんじゃねぇぞ!」
「っえ!?っあ!ちょっとケンちゃん!!」