第36章 regain
「安田さん悪ぃけど…」
三ツ谷は後片付けをし、
カバンと紙袋を持って立ち上がり安田さんに近付いた。
「あ、はい?…ひっっ…?!」
安田さんは三ツ谷のあまりの殺気のたちようとおどろおどろしい空気に思わず口に手を当ててしまった。
「急用できたから出るわ。
あと頼める?」
「あ、はい…」
「よろしく」
周りの部員たちも、
今まで見たことのない三ツ谷の恐ろしすぎるオーラに息を飲んで言葉を失っていた。
校庭を出て足早に歩いていると、
また携帯が鳴った。
「?!マイキー?」
«おー三ツ谷!今さぁ家でランから貰ったチョコケーキ食ってんだけど、お前は何貰ったのー?俺にも食わして!»
「悪ぃマイキー、今そんなことしてる場合じゃねぇんだ。つぅかなんも貰ってねぇから」
«え?ランと一緒にいんじゃねぇの?»
「今から第二の男を殺しに行く」
«?!は?なにそれ?第二の男って何?»
「あーマイキー入れると第三の男か。
マジ殺す」
«待てよ、え、なになに?全く掴めねぇ。
ちゃんと説明しろよ!»
電話越しからでも伝わる三ツ谷の殺気の立ちように、急いで万次郎はバブのキーを掴んで立ち上がった。
その瞬間、
そのキーに付けていたクマのぬいぐるみキーホルダーラン2号がトサッと床に落ちた。
ゾワッと一気に鳥肌がたち、
嫌な予感がした。
ストラップ部分が外れてちぎれてる……
万次郎はそれを握りしめ、
凄い勢いでバイクを飛ばして行った。