第36章 regain
「どうした?タケミッチ。
ちょっと今忙しいんだけど」
«っあ!えっと…三ツ谷くん?
あのですね……えーと…»
「あぁ?」
«あっ!そのっ、一応報告ってゆーか…
あのーですね…ランさんが»
「は?!?!ランがどうした!!」
«うぉあっ!ちょっ!千冬っ!!»
«あーもしもし三ツ谷くん。松野です。
俺らたまたまなんすけどランさん見かけて、»
突然切り替わった千冬の言葉に
三ツ谷は目を見開く。
«で、知らねぇ男と2人で歩いてたんす»
「な…っ、なんだって……」
まさか…!!
なんか最近コソコソ怪しい感じしてたし、会うのも減ってたし、いろいろ気付かないフリして気のせいだって自分に言い聞かせてたけど……
やっぱり…浮気?!
今日、俺より優先される男がいたってことか?!
«で、2人が入ってったのが…»
「は?!なに、どっか入ってったの?!」
«あーハイ……多分、ら、ラブホに。»
「?!?!?!?!?!」
三ツ谷は目眩を引き起こし
目を白黒させてしまった。
«今は廃墟になってるぽいすけど…
なかはどうなってるかわかんないっす…
入って確認してきた方がいいっすか?»
「………」
«……三ツ谷くん?平気っすか?聞こえてます?
一応俺らつけてきてて、建物の前にいるんすけど»
「いい、俺が行くから場所だけ教えろ」
千冬とタケミチは、
突然人が変わったように低く恐ろしい声を出す三ツ谷に怯みつつ、場所を教えた。