第36章 regain
「部長〜♪バレンタインです!どうぞっ!」
「私のも貰ってください!生チョコです!」
「私のはマフィンです!」
部室に入った瞬間、
口々にそんなことを言いながら部員たちにバレンタインを渡された。
「…あ…あぁ〜ありがとな。」
「部長!私からもどーぞ」
「安田さんまで…今年もサンキューな…」
やべぇ…
マジで持ちきれねぇ…
「こんなこともあろうかと、部長のために大きな紙袋用意してきました。どうぞっ」
安田さんにバッと紙袋を押し付けられ、三ツ谷は目を丸くする。
「…さ、さすが安田さんだな。助かるよマジで。」
苦笑いしながら大量のバレンタインたちを入れていく。
すると、ガラッと扉が開いたかと思えば
相変わらず制服の下に派手なシャツを着たぺーやんが入ってきた。
「うぉいうぉい三ツ谷ぁ!
さっきの聞いてたぜ?」
「は?さっきの?」
「おまっ、なんっで好意ある女子からのチョコも受けとっちゃってんだよ!しかもあんな振り方じゃ全然意味ねーしまだまだチャンスあると思わせちまうだろ?」
「えっ…そうなの?」
俺、間違ってたのかな…?
まずかったかな。。
いや、でも…じゃあどうすりゃ良かったんだよ?
「三ツ谷は優しすぎる!」
「ええその通りよ!部長は優しいの!アンタと違ってね!」
「なにぃ?!」
またいつもの如く安田さんとぺーやんが言い合いを初めてしまった。
「その優しさがトラブル招くこともあんだよ!
ランにキレられても知らねぇかんな!」
「っっ!や… ランには黙っててよ。
頼むよぺーやん…」
苦笑い気味に懇願する。
「じゃー、チョコ全部くれ!」
「えっ」
「こら林くん!これは全部部長が貰ったものなのよ?!ほら、これあげるから!」
「っえ!い、いいのか…?!」
「かっ、勘違いしないでよね!
ただの義理チョコなんだから!」
安田さんは少し顔を赤らめている。
ぺーやんは嬉しそうに目を輝かせている。
なんだかんだ、この2人はいっつも夫婦みたいだなぁと三ツ谷も周りも思っていた。
「ひゃっほ〜お!
じゃあな三ツ谷!」
「おう…今夜の集会遅れんなよ」
ぺーやんの奴…
ぜってー安田さんからのチョコ貰いに来ただけだろ。