第36章 regain
「えっ…!あれランさんじゃないか?」
タケミチが指さす先には、見知らぬ男の後をついて歩いているランの姿があった。
「…んん?あーほんとだ。でも誰だあの男。
見たことねーけど」
千冬はたちまち顔を険しくする。
「ランさんが東マン以外の男といるとかありえないよな。しかも今日"バレンタイン集会"あるし」
え?とタケミチは目を丸くする。
「"バレンタイン集会"って…なに。」
「毎年2/14は東卍バレンタイン集会ってのをやんだよ。ランさんがメンバー全員にチョコ配るイベント。」
「は?!なにそれっ?!
あっ!だから連絡網で、今日貰ったチョコ全部もってこいとか言ってたの?」
「みんなこの日だけは何があっても全員集まるんだぜ?もちろん表向きは普通の集会だけど、多分総長のマイキーくんが気を利かせてんだよ。いっつもたいした話ないもん。
んでみんなで開封して、貰った数のランキング付けすんだよ」
「・・・」
やば……
言葉が思い浮かばない。
「ランさんって…やっぱすんげえ優しいんだな…。あんな大人数分用意するなんてきっと相当大変だろ…」
「そーなんだよ
マジランさんは女神なんだよ。
あ〜去年はクッキーだったかな〜今年はなんだろ。
そーいやお前はヒナちゃんからチョコ貰ったのかよ?」
「あー、家に来てって言われてっからこれから行こうと思ってたんだけど……」
どうしてもランさんが気になる…
千冬も同じことを考えていたのか、
「つけてみるか?」
いつの間にか後をつけていた。