第36章 regain
「いただきまーす!」
「ちょっと待った!!
朝からそんなもの食べたら体に悪いよ!
帰ってからのお楽しみにしな!」
「えーーーーなにそれーー
もうそれ俺のもんじゃん」
「そもそもあんたは毎日甘いもん摂取しすぎなの!」
「ランに言われたくねぇんだけど?」
ブーブー言っている万次郎を無視してケーキを取り上げ、冷蔵庫にしまった。
それと同時にもう1つの箱を取り出し、チラと中身を確認する。
うん…
ちゃんとハート型だし、
これでもかってほどデコったし…
我ながらかなり頑張った!!
これなら隆も「すごい」くらいの一言は言ってくれるはず。
隆はなんでもできちゃうし器用だから、正直かなりプレッシャーだったけど…
これならなんとか……
ふふ…と思わず笑みがこぼれる。
家庭科室の冷蔵庫に入れておいて、
放課後三ツ谷に渡しに行こうと綺麗にラッピングして紙袋に入れた。
あれから三ツ谷には会っていない。
今日は部活に行く旨をメールしておいた。
その日の授業中、
とにかくそわそわして仕方なかった。
早く渡したいような渡したくないような…
妙な気分だ。
私ってなんかホントに…
まるで恋する乙女みたいで逆に恥ずかしい…!
こんなことで馬鹿みたいに緊張してるなんて、私はいつから少女漫画の乙女のようになってしまったんだろうか…
ていうか……
眠い!!!
ランはその日、どうしても授業中うつらうつら船を漕いでしまい、全く授業が頭に入らなかった。