第36章 regain
「うぅー…おはよぉ…ござ、ま……」
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昨夜遅くまでずっとお菓子作りに奮闘していたため、かなりの寝不足だった。
「ラン大丈夫〜?
マイキーより遅く起きてくるとか相当だねー」
エマが出してくれた朝食をチビチビと食べながら、重い瞼を擦る。
「ホント平気〜?
東マンのみんなの分くらいは手伝おうかって言ったのに、私がやらなきゃ意味無いとか言うからウチは先に寝ちゃったけど」
「うん…平気…」
あくびをこらえながら味噌汁をかきこんでいると、寝癖のすごい万次郎が顔を覗き込んできた。
「へぇ〜っ!ちょおおお楽しみ〜♡」
「ほんっとランって優しいよね〜
しかも結構難易度高いもの作ってたし〜」
「早く俺のちょーだいよ!」
「マイキーランに感謝しなさいよね〜
すごーく大変そうだったのに全部一人でやってたんだから〜東マンの奴らも土下座くらいしたほーがいーよ」
ランはごくごくと水を飲むと、
寝癖のついた頭をかきながら寝ぼけ眼で冷蔵庫を開けた。
「はい、これ万次郎の分」
掠れた声でそう言って、万次郎の前に大きめのチョコケーキを置く。
「わぁぁあーーっ!すっげーーっ♡♡
想像以上にうまそ〜っ♡さんきゅーーー」
万次郎は目を輝かせてパシャパシャと写メを取りだした。
それは4号サイズくらいのチョコケーキ。
白いチョコペンにカラースプレーや飾りを置いてデコってある。
よかった…
とりあえず万次郎は満足してくれたみたいだ。