第35章 repel*
「ねぇ万次郎…14日なんだけどさ…
その日に集会やったりなんて予定…ないよね?」
風呂上がりに万次郎の部屋に行き、
一応聞いてみた。
「え?14日?なんか報告でもあんの?
それならやってもいーけど」
「やっ、ないない。ないならいーんだ。
じゃっ!お疲れっ!」
そう言ってすぐさまくるりと踵を返す。
そーだ。
別にその日じゃなくてもいーし。
ていうか、バレンタインの日は放課後隆のとこ行って隆と過ごすのがベストじゃん。
「あ、待った。思い出した!
やっぱその日、集会やるわ」
「は?!」
急いで振り向くと、万次郎は真顔で人差し指を立てた。
「だってその日バレンタインじゃん。」
「そ、そうだよ?だから?」
「みんなランから貰えんの何ヶ月も前から楽しみにしてるしさ〜ほら、去年もやったじゃん?」
「え?!もしかして去年もその前も、それだけのために集会開いたの?」
「は?そうだけど?」
さぞ当たり前のように言う万次郎に、
驚愕しすぎて開いた口が塞がらない。
言われて思い出した。
確かにあの日、たいした報告とかもなくて、なんの集まりだったんだろって疑問に思ったんだった。
見方によっては、万次郎はとても仲間思いなのかもしれない。
でも私がめちゃくちゃ必死こいて全員分のお菓子を作る苦労を分かっていないだろう。
「………。」
私、馬鹿だ。
そんなことにも気づかず今までまんまと嵌められていた…というわけだ。
「やっべー…危うく忘れるとこだったわ!
思い出させてくれてサンキューラン!
今年も楽しみ〜♡」
「………。」
もう何も言えない。