第35章 repel*
ランは三ツ谷が帰ってから、急いで隠した本の山を取り出した。
バレンタインはもう3日後……!
早くどれ作るか決めなくちゃ!!!
もう最近はこんなことばっか考えていて
すごーく忙しい。
とにかく早く決めなくちゃ…!!
パラパラとレシピ集をめくる。
どれも美味しそう…
マフィンもいいしガトーショコラもいい…
でも……
いろんな種類を作るのは大変すぎて無理だから…
せめて2種類に絞ろう。
隆も万次郎も、どれだったら喜ぶんだろう?
そういえば…
去年はバレンタインの日に東マンの集会が開かれちゃって…
だからそんな日にみんなにあげないなんてわけにはいかなくて、100人分のクッキー焼いたんだった…
ぶっちゃけ死ぬほど大変だった…!
今年は2/14に集会の予定は無い。
ということは…皆に会わない!
ということは…全員分作る必要はない!
あの期待に満ち満ちた皆の怖〜い視線も浴びなくて済む!!!!
「ふーーーーっ…よかった。
てことは私は、隆と万次郎の分だけ作ればいいわけだよね?…去年は確かブラウニーをあげた…よね…」
隆のだけ微妙に可愛いラッピングにして。
気付いてたかはわかんないけど……
で、圭介はあんま甘いもの好きじゃないとか言うからペヤングの変な味のやつあげた気がする。
考えてみたら去年のバレンタインは圭介と過ごしてたんだ。
それを半分こにして食べた…。
「……懐かしい…。圭介…元気かな…」
"半分こな"
そう言って笑っている場地の顔が
頭の中に浮かんで目頭が熱くなった。
「はぁ…でも待って…
そう考えるとやっぱり…皆にあげるべきかな?
今年はあげないとかやっぱ変?」
うううううううーーーー
頭がこんがらがる。
結局、私は皆を無視できないんだ!
めちゃくちゃ忙しくなるじゃん!!!