第35章 repel*
三ツ谷はその後、制服姿のままランの部屋に来た。
「はい、これ」
「あっ!」
「これは返すけど…無理に付けなくていいからな?」
そう言って、ランから取り上げていた赤いスカーフを渡した。
「わ…やっと戻ってきた!私の宝物!」
ランはさっそくそれを髪に巻きつけて笑顔になる。
「つけないわけないじゃん!
これからちゃんと毎日つけるんだから!」
髪が短くなったので、
前みたいに高い位置のポニーテールはできない。
なので頭に巻くような形になった。
「…はは…短い髪にも似合ってるよ。
やっぱランは赤ずきんみてぇ」
目を細めて笑う三ツ谷にランはムッとなる。
「それ髪短くなくても言ってたよね?
普通は白雪姫じゃないの?」
「っ…あ…なるほど…!」
妙に納得してしまう三ツ谷。
「ところでさ… ラン、
最近マジで何してんの?明らかにおかしくね?」
「っ…は?何って何?何も無いよ…
あ…ちょっと最近勉強遅れ気味で…」
「……ふぅん…」
じゃあなんでそんなオドオドしながら言うんだよ。
どんだけ嘘下手?
まぁそういうところが好きなんだけど…
逆にマジで気になりすぎるじゃんかよ。
まさか……
浮気?!
三ツ谷はランの部屋をキョロキョロと凝視する。
「…ん?お前こんなに読書家だったっけ」
「っっ!!ダメダメダメダメ!!」
机に積み上げられている本を、ランがバダバタと隠して紙袋に入れてしまった。
その行動にポカンとなる。