第34章 ratio*
「思い出させたくはねぇけどさ……」
「はっ…んんッ……」
ギュッと手を押さえつけられたかと思えば
濃密なキスで唇を塞がれた。
「マイキーにどんなキス…されたの」
「んんッ…んぁっ……隆っ」
「なぁ……」
…少し乱暴で……
それでもその中には、やっぱり…
彼らしい優しさがあるのが分かった。
「こんなふうに…された?」
角度を変えて荒っぽく舌を絡め取られ、
奥から吸い上げられた。
三ツ谷に繋がれている手の力が抜けていく。
「そっ、な…っ…されてなっ…っ…」
「……そう……
じゃあこんなことできんのも俺だけな…」
「っん……」
制服のボタンを外され、
鎖骨の上に強く吸いつかれた。
パッと放して見下ろしてくる三ツ谷の瞳が、どこか切なげに揺れていた。
「言っただろ?
本当は俺は、独占欲の塊なんだって…」
そこで初めて三ツ谷の気持ちに気がついてしまった。
いつも冷静で大人で、感情を表に表さない彼でも、実はずっと色々な複雑な感情をただ制御していただけなんだと。
きっと自分や万次郎や周りが…子供だから…。
「だからランのこと抱くね」
それだけ言って服を脱がせ始めた。
そして三ツ谷自身も自分の服のボタンを外していく。
「文句ねぇよな」
「ん……」
気づかれないように小さく深呼吸をしてその先を待った。