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progress ~東リべ卍~R18~

第34章 ratio*



そっと頬に触れて優しく涙を拭った三ツ谷の手が
ランの背に回り、ギュッと抱き寄せられた。



「ふ…やっぱ可愛いラン」


「…っ、可愛くないっ…」


こんなダメダメな私…
弱くてどうしようもない"女"な私…

可愛いなんて言われる資格も
思う資格もない。

優しくされる資格も…守られる資格も…


そもそもそんな女は嫌だ。目指してない。


私はいつだってずっと昔から、
誰よりも強くてめげない人間を目指して…



「んぁっ…」


三ツ谷の手がそのままスルッと背筋をなぞった。



「ほら…可愛い。」


「ん…」


「俺が可愛いって言ってんだから可愛いんだよ」



温かくて安心するぬくもりと
安心する香りに包まれてまた目頭が熱くなる。



「ランはな、
俺にとってすげー可愛いただの女の子なんだ。」


「っ…」


「誰よりもしっかりしなきゃって強がってるランも、落ち込んでるランも怒ってるランも泣いてるランも……俺にとっちゃ昔から、ただの可愛い女の子でしかない。」


「っっ…」

ハッと言葉に詰まって目頭が熱くなる。

耳元で囁かれる声色が優しくて切なくて
胸いっぱいに温かいものが込み上げた。



"ただの可愛い女の子"

そんなことを言われたことも思ったこともなかった。
考えたことすらも。



フワッと首筋に息がかかったのと同時に
柔らかい唇が耳に当たった。

ゾワッと鳥肌がたちピクっと体が反応してしまった。

「…… ラン…」

そんなランに三ツ谷がどこか苦しげな声を出す。


「ほんと…可愛くてたまらない…」


「んっ、隆…」


「ただすげー好きなんだ…」



心臓を鷲掴みにされたみたいに痛くなって
苦しくなった。
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