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progress ~東リべ卍~R18~

第34章 ratio*



「いろんなことに臆病になる気持ち…わかります。
俺はヒナって存在ができてから、大切なものを守るためにめちゃくちゃ臆病になった。」



"あの頃は…今までは…
怖いものなんてなんにもなかったの。
でも…大事なものができて、強くなっていくぶん怖くもなっていった。負けることとか失うこととか…前よりもずっと…"


自分が柚葉に言った言葉が反芻した。



だけど…
とタケミチは真剣な目をして眉を釣りあげた。



「俺は、その分強くもなった。」



真っ直ぐと射抜くその目に
勢いよく突き刺された感覚がした。




「強いっていうのは、喧嘩に勝つことじゃない。
自分に…負けないことだから。」






"本当に大切なことは、喧嘩に勝つことじゃねえ。
自分に、負けないことだ。"



ハッと目を見開いたランの瞳には今、
タケミチの真剣な顔が、真一郎の姿と被って映っていた。


兄貴に似てると
そう言った万次郎の言葉が理解できた。


今更…ようやく…
私は1番大切なことに気がついたんだ。


私は今まで生きてきてずっと
"大切なこと"を履き違えていた。


大切なことは、自分が誰よりも強くなって
自分自身と大切な人を守ることだと思っていた。


だから弱くて甘ったれた自分は許せなかった。
今まで1度もそんな自分を許したことは無い。
だから今回も。


でもそうじゃなかった。
間違っていた。



本当に大切なことは、目に見えないこと。


本当に大切なことは

そんな自分にも打ち勝って
自分の気持ちに、誤魔化しに、嘘に、偽りの感情に
惑わされずに負けないことだ。

どんな事があっても…
決して。


それが本当の強さだった。
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