第34章 ratio*
「で、ランはさ、
三ツ谷を好きで、で、その先は?」
「え…その先?」
考えたことなかった…
そんなこと……。
私は…隆を好きで、
それで…なんだっていうんだろう?
私は隆をどうしたいんだろう…
隆とどうなりたいんだろう…
「アタシはさ、ランのことも三ツ谷のことも好きだから…幸せになってほしいって思う。」
「柚葉……」
暖かい風が吹いて短くなった髪を揺らした。
「だからさ、アンタたちはちゃんと将来結婚しなよ」
「え?!」
突拍子のないその言葉に目を見張って柚葉を見る。
柚葉はニッと白い歯を出して笑っている。
「んで結婚式ではアタシにブーケ投げなさいよね」
結婚式なんて言葉を
初めて聞いたような感覚すらしてしまうほど
ただ口を開けて言葉を失っていた。
いつかの昔、未来も彼の隣で笑っていられたら…
なんて思っていたことは確かだ。
けれどそれは考えてみたら……
言葉を探していたその時、足音が聞こえてきた。
2人同時に顔を向けると、
そこにはタケミチが立っていた。