第34章 ratio*
「ねぇ、三ツ谷のこと好きなんでしょ?」
その言葉に、また視線を落とし
ゆっくりと頷く。
携帯にはまだ自分と三ツ谷とのキスのプリクラやハグのプリクラが貼ってある。
あれから四六時中これを眺めては心がチクチクと痛んだ。
ずっと一緒
一生大好き
俺のもん
そう彼が書いてくれた文字。
"お前はずっと…俺のもんだから…
一生放してやらねぇから…
だから覚悟しとけよ…"
その言葉を思い出し、
胸が熱くなった。
「私は…隆のこと好きだけど…でも馬鹿みたいなことで迷惑かけたり気を遣われたくない。」
「ねぇ、それ間違ってるよ」
ギュッと強く、柚葉が拳を握ってくる。
「人が動くときはね、
自分の幸せのためか、好きな人の幸せのためなんだよ。」
ピクッと動いたランの拳を、もう一度強く握り返してから柚葉は言った。
「ランも三ツ谷もマイキーも、今までそうやって生きてきたんじゃないの?迷惑なんて言葉、言われたことも言ったことも、頭に思い浮かんだことも、ないでしょ。」
ハッとしたように目を見張るランの頭に、柚葉のもう一方の手が乗った。
「アタシだってないよ。」
「………。」
そっか、柚葉は……
家族とあんなふうなことがあったけど…