第34章 ratio*
涙と一緒に鼻水まで出てきてしまって、
それすらもなんだか情けなくて。
でもそれ以上に
自分がしてきたことの重さに押しつぶされそうだった。
ずっとずっと心の奥底ではわかっていたけど、
見ないフリをしていた自分の本音を突きつけられたような気分になって胸が苦しくなる。
ぐちゃぐちゃになった顔を拭いながら思った。
……私が傷つけた2人は
こんな風に泣いていないだろうかと。
だんだん私という存在が、
私の中で少しずつ変わっていっている感じがしていたことには気がついていた。
それも結局、見ないふりをしていただけ。
そんな今までとは違う自分が怖かった。
あんなところで脅えた自分も怖かった。
情けない、という感情よりも、
ただ
怖くて仕方なかった。
人間は、
変化を1番恐れる生き物なのだと自覚した。
私はやっぱり…
あの頃とは変わってしまっている。