第34章 ratio*
「… ラン、お前はさ…
三ツ谷のことも、マイキーのことも、
どう思ってんだよ」
「どうって…大切な人だよ2人とも!
同じくらい大切!私にとっては!」
ズビビーとティッシュで鼻を噛み、
鼻声でつい声を大きくしてしまった。
「でもっ…こんな私のままじゃ、
2人とはいられない。
傷つけるし、迷惑かけるし」
ドラケンは長い息を吐いたあと、
しばらくして口を開いた。
「じゃー三ツ谷に他に女できてもいいんだな?」
「っ、それは嫌!」
「はぁ…じゃーマイキーにも、
お前より優先される女ができたら?」
「…それは……ちょっと…や……」
ドラケンは眉間に皺を寄せ、
俯いているランの後頭部を見下ろした。
「お前って、自分が今何言ってるかわかってんのか?」
ゆっくりと顔を上げると、
ドラケンの冷ややかな瞳と目が合いドキリとなる。
「自分を与える気はないのに他の女も近づけたくねぇなんて…たいしたエゴイストだな」
目を見開くランに、
ドラケンは尚も冷たく続ける。
「そんなんで三ツ谷のこともマイキーのことも待たせてるつもりなら、あいつらになんの期待も持たせねぇくらいにハッキリと振るべきだろ。」
ティッシュを持つ手が…震える。
「女のわがままって、
可愛いのと可愛くねぇのがあんだよ。」
ドラケンの無機質な声だけが部屋に響く。
「あいつらの気持ちを弄ぶな。
あいつらは優しいから、可愛くねぇわがままな奴にも手を差し伸べちまうんだ。」
何も言えなくなる。
ただ心にズキンと…1本の針が刺さった気がした。