第34章 ratio*
「はぁ……」
ランの隣で、
ドラケンがため息を吐く。
どーしたもんかなこれ…
んでこんなことになっちまったんだよ…
「…ごめんね、堅…」
ランは自分の部屋で終始俯いたままだ。
「いや…。つぅか何に謝ってんのかわかんねぇんだけど…。とりあえずさぁ、感情論抜きにして、三ツ谷ともマイキーとも元に戻ってくれよ、頼むから。」
じゃねーとマジで
東卍バラバラじゃねーかよ…
「…怖い。」
「はぁ?」
「怖いんだよ…。
毎日毎日、目を閉じるのが怖くて眠れない。
学校も交差点も台所もお風呂場も、どこにいても…」
ドラケンは目を見開いた。
「怖い」などという言葉がランから出てきたのは未だかつてない。
「お風呂も着替えも苦痛なの…
体の傷見る度に思い出すから…」
夕暮れ時になると湧き上がる不安。
背後が気になってまともじゃいられなくなる。
そんな自分に物凄く…
「疲れてるの…」
蚊の鳴くような小さなかすれ声。
やはりドラケンにだけは、
素直な気持ちや弱い所をさらけ出せた。
「…… ラン…大丈夫だ。
俺らがついてる。」
ドラケンはランの頭を引き寄せ、
その大きな体に押し付けた。
「お前が怖がることなんて、
この世に何もねぇだろ。お前は強いんだ。
自分を信じろよ。」
まだ触れられるということが怖いのか、
ランの体は小刻みに震えている。
しかしドラケンはわざと強く引き寄せ、離さないようにした。
「私は…弱いよ。
ずっと強いと思い込んでただけ…
ホントは誰よりも弱いの。
女だし…」
ぽつりぽつりと、
頬を伝う涙がドラケンの服に落ちていく。
「こんな私を…誰にも知られたくない。
隆にも…万次郎にも……」
だから距離を置きたかった。
これが私の本音。