第33章 realm
「俺に隠し事なんて珍しいなマイキーよぉ。」
どんどん離れていくランを焦ったように追いかけていくエマの後ろ姿。
それを目を細めて見つめてから、ドラケンは万次郎に視線を移した。
「……キス」
「あ?」
「キス、した。」
「な…んだって?」
「そんで、好きだって、言った。」
歩きながらそう万次郎がゆっくりと言い、
遠のいていくランの背を見つめている。
「……それで?… ランは?」
「…すごく…動揺してた…」
「まぁそうだろうな…」
ドラケンはハァとため息を吐き、
内心マイキーをけしかけたのは自分なのではと責任を感じていた。
俺、バカだな…
でも正論だしな…
考えてみりゃ俺って昔っから
三ツ谷をけしかけたりランをけしかけたり…
どーゆー役回りしてんだよ。
しかも自分のことを差し置いて…。
「…あぁ、じゃあその傷はランにやられたのか」
「……まぁそんなとこ。」
ドラケンが万次郎の傷を見ながら
顔を引き攣らせる。
「へぇ……相変わらず手加減無し…」
離れた場所からエマが振り向いた。
早くしろ!と言っているのが口の動きでわかる。
ホント…
早くしろ。だよな…