第33章 realm
次の日、万次郎の自宅謹慎が解除された。
今日から前のようにランと万次郎、
エマとドラケン4人で登校するようになったのだが…
「マイキーお前、ランとなんかあったのか?
家ん中でもよそよそしいってエマの奴も言ってたし。
つぅかそこ傷どうしたんだよ?」
ドラケンが背後で万次郎に喋りかけているのが聞こえた。
「んー、別にー」
呑気な声。
やっぱり地獄耳な自分が嫌だ…
ランはそんなふうに思いながら、
ギュッと拳を握って無意識に早足になる。
あれから、万次郎の顔をまともに見れない。
「好き」 「ずっと好きだった」
あんなふうに言われて、
あんな顔をされて
さすがの私でも、
その好きがどんな意味かくらい分かるよ。
それに、キスまで……
あの時のことを思い出し、
万次郎の残触が残っているような感じがして
唇を噛み締め頭を振り払う。
あれから万次郎は
特に何事も無かったかのように普通に見えていた。
何を考えているのかわからない。
だから自分が無意識に避けている。
ただの一時の気の迷い?
こんなに戸惑ってしまってるのは私だけ?
なんだか酷く、女らしい女になっている気分がして具合が悪くなりそうだ。
結局、隆に相談だってできるわけがないし…
だいたい傷なんか作ってきて
またどっかで暴れてきたのかな…?
私のせい?
ううん違うよね。
どれもこれもぜんっぶ
万次郎のせい…
もうワケわかんない……