第33章 realm
「三ツ谷と会ったあの後、実はね…
またランにキスしたんだよ」
バゴッ!!!
勢いよく三ツ谷の拳が万次郎に飛んだ。
ガシャンッ!
とグラスが落ちて散乱し、
周りの客たちがザワザワと騒ぎ始める。
「てめぇ今なんつった…」
三ツ谷のこれまでに無いくらい殺気立った低い声色。
万次郎は俯いたまま表情が見えない。
「俺言ったよな?
二度目はねぇって…」
「……あぁ。」
万次郎は僅かに口角を上げた。
「なぁんだ…お前、殴れるんじゃん」
「あ?」
「ハハッ…いっつも冷静ぶって大人ぶっててさ…
なのに実はお前って…そんな余裕ねぇんだ。」
ピキっと三ツ谷のこめかみに青筋がたつ。
「…面白ぇよ。それがお前の本性なんだな三ツ谷」
「っ、てめぇ表出ろや!!!!!!!!」
あまりに恐ろしく大きな三ツ谷の声に
辺りはシンと静まり返ってしまっていた。