第33章 realm
「三ツ谷…お前は余裕でいいな」
「あ?」
「ランはいつもお前のもんだし、ランは昔っからお前にベタ惚れだから、
ランの心が動く心配も、誰にとられる心配もねぇってことだろ」
「は…?」
「だからいつも余裕なんだろ。
だから俺にも全くキレずに冷静なままでいられんだろ。」
「おま、」
「その余裕さ、羨ましいよ」
その瞬間、三ツ谷はバンっ!と両手を広げテーブルに着いて立ち上がった。
「余裕なんてあるわけねぇだろ!!!!」
店に響いたかなりの声量に、
周りの客たちが騒然となる。
万次郎はそんな三ツ谷を、無の表情で冷淡に見上げている。
「俺にいつだって余裕がある?
ふざけんな!!!余裕があったことなんて1度もねぇよ!!」
数秒の沈黙が流れたあと、
万次郎が視線を落としながら口を開いた。
「俺ね……」
その後に万次郎が言った言葉に、
三ツ谷は大きく目を見開いた。