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progress ~東リべ卍~R18~

第33章 realm




手を繋いだまままた歩き出した。

僅かに三ツ谷の手の力が強くなったように感じる。



「……。」

「……。」


どうしよう…
さっきから微妙な空気になって無言になっちゃった…

なにか…
なにか話題を見つけなきゃ……

あ、そうだ。
最近ルナマナちゃんに会ってないから
その話でも…


「あのさ隆、」

「あ、ちょっとそこ寄ってっていい?」


三ツ谷が指さしたのは手芸用品店だった。


「あぁうん、もちろんいいよ!」


店に入ると、
色とりどりの布や糸や裁縫道具に目を奪われた。

三ツ谷は熱心にいろいろと物色している。

真剣に仕事をする男の人みたいで
やっぱり彼のこういう表情がすごくかっこよくて好きだなと思いながらその横顔を見つめた。


「なぁラン、ちょっと来て」


「あ、うん」


「この生地どう思う?」


「えぇっ?私に聞くの?
シロウトだし全然わかんないよ。
でも……いいんじゃないかなぁ?
これからまだまだ寒い日が続くし」


そう言いながらコネコネと布を触ると、
三ツ谷はまた考え込むように真剣な顔をしだした。



「ふふふっ、隆って
ホントもうプロって感じ」


「からかうなよ」


「からかってないよ!本気で思う!
カッコイイって!」


そう言うと三ツ谷は一瞬目を見開いてから
照れたようにスっと視線を外した。


「… ランの好きな色って何?
そういえば聞いてなかったなって思って」


「あ、そうだねそういえば。
私は紫!」


「どんな?」


「えっ、どんな?」


三ツ谷はまた仕事の目に戻っている。

凄いな…
色1つとってもそんな細かく聞いてくるんだ。


「えっとね…ラベンダー…ぽい色?かな?」


「へぇ!じゃあ俺と一緒だな!」


「え!ほんとに?」


「うん!俺もラベンダー色みたいなパープル1番好きだから。奇遇だな!」


思わぬ共通点を嬉しく思った。
そう言われてみれば、三ツ谷はわりと紫の私服を持っていた気がする。
それに、彼によく似合う色だとも思う。
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