第32章 rear
キス…?
されてる……?
「… ラン」
ゆっくりと唇が離れた。
「ランが好き…」
「んっ…!」
また唇を重ねられ、
ビクッと体が強ばった。
押さえつけられているその力が強すぎて
逃れられない。
「俺はランが……好きなんだよ……」
少し唇が離れてまた重ねられた。
舌が滑り込んでくる。
「ん…っ…や…」
熱い…
私の抵抗に気付きもしないくらい…
圧倒的な力の差で…
万次郎が私を押さえつけている。
「ん…っ…… ラン…」
「っ…んんッ…」
その時、初めて気がついた。
あぁ……
そっか…
万次郎は今までずっと
ずっと
私に手加減していたんだ。
万次郎はやっぱり…
本当は私より強くて
ちゃんと…
男なんだ。
わかんない。
もうなにもわかんない。
なに
これ
万次郎の顔が見れない。