第32章 rear
「えっ?万次郎?!」
部活を終えて、三ツ谷と共に校門から出ると、
万次郎がバイクに寄りかかって校門の前で待っていた。
「よっ!おつかれっ!」
「マイキーお前……
うちの中学まで来なくても…
バイクなんか目立つだろ」
「んだよ2人を迎えに来たってのに!」
むくれたように言ってバイクを押して歩き出す万次郎に、三ツ谷は苦笑いする。
ランには俺がついてるから平気だってのにわざわざ…
っあ、もしかして単に俺らを邪魔しに来たとか?(笑)
「じゃー俺は歩いて帰るからさ。
ランはマイキーとバイクで帰れよ」
「えっ?いーよ!隆んちまでは歩いてくよ!」
「うん、そのつもりだからいーよ、たかし!」
「お前まで隆って呼ぶなよっ!」
はははははは!とランが盛大に笑ったので、一瞬三ツ谷は驚いてしまったが、すぐに頬を緩めた。
…よかった。
久々にこんなランの笑顔見た。
やっぱマイキーいたほうがいいな。
三ツ谷の家に到着し、
別れの挨拶をする三ツ谷とランの姿は、
恋人そのものだった。
「じゃ、また明日な!」
「うん!明日も堅に隆の中学まで送ってもらうね!」
毎日来なくても…
と思うのだが、自分もランに会いたいし、
ランも無理に言っている訳では無いことは分かっていたので何も言わずに頭を撫でた。
その時、一瞬ビクッとなるランに、
三ツ谷が咄嗟に手を離した。
「っあ、ごめん…」
「あ、違うの!大丈夫!
もう…怖くないから。」
気まずそうに笑って、ランはもう一度三ツ谷の手を取り、自分の頭に持っていった。
そんな2人の姿を
万次郎はボーっと見つめていた。