第31章 reaction
ハラハラと髪が落ちていく。
「女になんか生まれたくなかった!」
ザクッ
ザクッ
泣きながら髪を切り落としていくラン。
その光景に、2人は息を飲みながらも、不用意に近づけないでいた。
「やめろ、ラン」
万次郎の低くて厳しい声色が響く。
「なんでっ…女なのっ私はっ
女じゃなかったらっ!」
「ラン!!!」
突然の万次郎の大声に、
ピタリと動きが止まった。
「それ以上言ったら、マジで怒るぞ」
静かな、でも低くハッキリとした声。
万次郎は真剣な表情でランを見つめていた。
「だって……」
ランの涙がゆっくりと頬を伝っている。
下校中の生徒の声が僅かに窓から流れていた。
教室は、どんどん暗くなっていく。
「万次郎のことも隆のことも…振り払ったりして…
私…おかしくなっちゃったみたい…」
男でも、大好きな2人なのに…
なんでだろう。
きっと、ショックを受けたと思う。
でも1番ショックを受けてるのはこんな私に対してだ。
「あんな奴のせいで…
大切な人を失いたくないのに…」
あんなクソ男のせいで…
「私自身を…変えられたくないのに…」
負けたくない
ぜっったいに
自分に負けたくないのに…