第31章 reaction
部活が終わり、部室には三ツ谷と万次郎とラン3人きりになった。
「お〜い万次郎!
いつまで寝てんの?!
もう帰るよ〜!」
万次郎を激しく揺すってなんとか起こし、
片付けをしていると、
光っている物が落ちているのが目に止まった。
その瞬間、ドクンッと大きく鼓動が跳ねた。
あの時の…ナイフ…
全てが一気にまた甦ってしまい、
体に力が入らなくなった。
「?…どうした?ラン」
「やっ…!!」
三ツ谷の手を咄嗟に振り払ってしまった。
「「!!」」
三ツ谷も万次郎も目を見開いたまま動きを止める。
「あ…っ…」
よく見るとそれは、
窓からの夕陽で光っている裁縫用のハサミだった。
あの時と同じ明るさでそう見えたため、記憶が蘇ってしまったのだと気づく。
そんな自分が信じられなくて、
目を見開いたまま冷や汗を流した。
「………。」
2人とも、ランの視線の先を見て、状況が掴めたようだった。
三ツ谷が「誰かの忘れ物だな」
そう言ってハサミを拾った。
ランの身体が震えていることに気付いたが、三ツ谷も万次郎も近づいていいものかと躊躇って動けないでいた。
「…私…やっぱり男って大嫌い…」
その言葉に、2人ともなんと言っていいのかわからず眉を顰める。
「…どうして私、女なんだろう…」
「ラン…落ち着け」
「ずっとずっと思ってた…どうしてって…」
ランの目から、涙がポロポロと落ちていく。
たまらず近づいた三ツ谷の持っているハサミをバッと奪い取った。
「あっ!おいっ!」
「ラン!なにやってんだ!」
ザクッ