第31章 reaction
三ツ谷が帰ってから、
部屋には万次郎と2人きりになった。
「なぁラン」
「んー?あ、今日はそのっ…
ホントにごめんね?」
「だからそれはもういいって。
それより…やっぱ怖い?俺に触れられるの…」
目を見開いて万次郎を見ると、
とても悲しそうに眉をひそめていた。
「ち、違くて。なんか…後ろから来られると…
ちょっとビックリしちゃうっていうか…」
「……。」
「あ、私もやっぱ夕飯の手伝いしてくるね。
とにかく気にしないで」
「待てよ。なぁ、そんな無理に笑わなくていいんだぞ?
俺の前でくらい素でいろよ」
その言葉に目頭が熱くなったが
グッとこらえた。
もうこれ以上泣くわけにはいかない。
「ごめん」
「なんでお前が謝んの。
謝んなきゃなんないのは俺なのに」
「万次郎に悪いとこなんてひとつも無いじゃん。
っあ、完治したら組手付き合ってよね!」
ランは元気な笑顔を見せつけながら出てってしまった。
万次郎は、無の表情のまま髪を解き
額に手を置いたまましばらくぼーっと床を見つめていた。