第31章 reaction
「ねぇランちゃんてさ、
実はレイプされたとかじゃないのかな…」
「私もそれ思ってた〜」
そんな噂まで広まり、
まるで腫れ物に触るかのような接し方になっていることにもランは気がついていた。
そんな放課後…
「お〜いラン?」
「「「!?!?」」」
皆が帰宅準備をしている教室にひょこっと顔を出した人物に、クラス中は騒然となった。
「えっ、なにあのイケメンっ」
「キャーほんとだ!」
「月乃さんのこと呼んでたよね」
「えっ?他校のヤンキーか?いかつくね?」
「俺あいつ知ってる!あいつは確かそこらじゃ有名な…」
「たっ、隆!!!」
ランが急いでカバンを持って三ツ谷の元へ掛けていく。
「ランちゃんの彼氏さんじゃない?」
「なるほど、月乃さんのこと心配で迎えに来たのか」
「初めて見た〜あれがランちゃんの彼氏なんだね」
コソコソと周りが言っている中、
ランは少し顔を赤らめる。
「隆いいのにわざわざ教室まで来なくって」
「いーだろ別に。ほら行くぞ」
優しくカバンまで持ってくれる三ツ谷に、
ますます顔が熱くなる。
「いっいいって、そんな私かよわくないし!」
「まだ腕とか痛むだろ?」
にっこり笑って歩き出す三ツ谷の後ろをオドオドしながら着いていく。
廊下ではそこかしこから視線が集まり、
「月乃さんて普段めちゃこえーのに彼氏の前だとあんなふうになんだな」
と男子たちが言っている声まで耳に入った。
地獄耳な自分を呪いたくなるほど
一気に羞恥にかられた。
客観的に見たら今自分は
完全に「女」に違いない。